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備忘録

勉強や読書の記録

瀧本哲史『武器としての決断思考』,星海社新書,2011

 忙しさを言い訳に書評を書くのをサボってしまった.一度やめてしまった習慣を再度始めるためにはかなりの精神的エネルギーを要するという学びを得た.他にも英語でブログを書こうと思うものの,時間がなく実現できていない.仕事の生産性を高めねば…

 今回は瀧本哲史氏の「武器としての決断思考」を紹介する.本書は瀧本氏が得意とするディベート思考を噛み砕いて説明している.ディベートの目的は相手を論破することではなく,現状での最善解を導き出すことにあるという.近年ロジカルシンキングに関する本が数多く出版されているが,本書よりもわかりやすい本は存在しないと思う.

武器としての決断思考 (星海社新書)

武器としての決断思考 (星海社新書)

 

 本書ではメリット・デメリットにはそれぞれ満たすべき三要件は,メリットについては,

  1. 内因性(既に存在している問題であること)
  2. 重要性(その問題が重要であること)
  3. 解決性(提案によってその問題が本当に解決されること)

デメリットについては,

  1. 発生過程(何かの行動を取ることで,検討中の問題が生じる過程)
  2. 深刻性(その問題が深刻であること)
  3. 固有性(現状その問題は発生しておらず,特定の行動によって新たに生じること)

とされている.

 反論はこれらの三要件に対して切り込んでいくことで行う.例えば,メリットに対しては,「そんな問題はそもそもないのでは?」(内因性),「問題だとしても,大した問題ではないのでは?」(重要性),「重要な問題だとしても,その方法では解決しないのでは?」(解決性)といった具合に切り込んでいく.反論は,それが正しいかどうかをチェックすることであり,その際に重要なのは「できる限り多くの視点から自分の意見や相手の主張をチェックする」ということ,つまり,MECE(モレなく,ダブリなく)であることが重要である.厳密にMECEであるのは非常に難しいと別の本で読んだのだが,可能な限りMECEに近づける努力をすべきと書かれていた.

 ディベートにおける「正しい主張」も満たすべき要件があり,それは,

  1. 主張に根拠がある
  2. 根拠が反論に曝されている
  3. 根拠が反論に耐えた

の3点である.主張と根拠の間には「推論」が存在する.本書では次のような例を挙げている.

・主張:Bさんはいい人だ

・根拠:お年寄りに道案内していたから

 

何の変哲もないシンプルな構造ですが,実は,この主張と根拠の間には,「人助けをする人はいい人だ」という考え方が見え隠れしています.(中略)この,主張と根拠の間にある,よく考えないと見えてこない前提の考え方(論理,または思い込み)のことを「推論」と言います.

 

・推論:人助けをする人はいい人だ

 

主張を「最終的に訴えたい結論」,根拠を「主張を支持する理由」とするなら,推論とは主張と根拠との繋がりを指し,「理由である根拠がどれくらい主張を支えているかを説明する論理」と定義づけることができるでしょう. 

つまり,相手の主張に対して適切に反論するためには,三要件の各要件に加えてその根拠と推論の妥当性を疑えばよい.

 推論の部分を攻めるために便利なツールが「演繹」「帰納」「因果関係」の3つだ.演繹は一般論から個別的結論を導き出す推論だが,前提が妥当でない場合は間違った結論や詭弁を導きやすい.帰納は演繹の逆で,個別の事例を集めて一般論を導き出すことだが,存在する全ての事例を検討することは不可能なので,絶対的に結論が正しいということはできない.因果関係は,

   ・原因Aがあるとき,結果Bが起こる

   ・このとき,AとBには因果関係がある

と定義づけられている.この関係で注意すべきは「因果関係が逆」「因果関係と相関関係の混同」「特定の原因にのみ着目する」の3点である.因果関係と相関関係の違いは,因果は,結ばれた関係同士が直接的に影響しており,相関は,ある要素を介して影響している.例えば,「コウノトリ出生率が少ないところでは,赤ちゃんの出生率も高いという相関関係がある」という主張は,コウノトリ出生率と赤ちゃんの出生率の因果関係を示さない.実は「都市化」という共通の原因が存在している.つまり,都市化が進むと,心理伐採などによりコウノトリの数が減少する.同じく都市化が進むと,両親の共働きや核家族の崩壊により子供の数も減少している.これが因果と相関の近藤だ.

 

 今回得たディベート思考という武器を用いて,自分の人生は自分で決めていかなければならない.論理的思考が苦手な方にはオススメできる一冊である.