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備忘録

勉強や読書の記録

上田正仁『東大物理学者が教える「考える力」の鍛え方』,ブックマン社,2013

 研究室の後輩が本書を読んでいたのだが,最初と最後,目次を見たところ中々良さそうだったので,読んでみた.

東大物理学者が教える「考える力」の鍛え方

東大物理学者が教える「考える力」の鍛え方

 

 内容自体は特別目新しいものはなかったが,高校時代や大学院入学直後に読んでおきたかった.「考える」とは何かと書いた本は数多く存在するが,ここまで細かく書いた本は中々ないように思う.

 著者は「考える」ことを,「問題を見つける」「解く」「諦めない」の3つのプロセスから成るものとしている.「問題を見つける」では,「漠然としたわからない」状態を「問題はわかっているが答えがわからない」状態に進化させる.

 そのために,著者は地図メソッドを提案している.まず,サーベイを行い,情報の整理・理解に努め,理解したものを除外するというプロセスを繰り返す.この際に注意すべき点は,情報収集よりも情報の読み込みに時間をかけることである.理由は2点ある.1つ目は,たくさんの資料に意識を集中するよりも,情報を精査して理解できる点を明確にし,意識の集中先を理解できない問題に集中した方がよいからだ.もう一つが,同じ情報にもう一度アクセスする手間よりも,読み切れない情報をストックし続けることで意識が分散する方がコスパが悪いからだ.また,サーベイ・情報整理のプロセスで,メモは必ず自分の言葉で書くようにとも言っている.自分の言葉で表現しようとすることで,脳の中で情報の処理が行われるので,記憶に定着しやすいそうだ.ブログも時間がないを言い訳に引用で済ませがちな私には耳が痛い….

 サーベイ・情報整理を通じて理解できる点,理解できない点をリストアップし,理解できない点から解きたい問題を探し出す.このようにして決められた問題の解き方は,「複雑な問題を類型化して,要素化し,1つ1つ潰していく」とある.この類型化を多角的に行うのが重要なのだが,そのために必要なのが受験勉強等で培われる知識なんだろうなあと最近しみじみ実感している.圧倒的に知識が足りていない.最近はバカ向けの本が充実しているので,少しずつでも遅れを取り戻していかないと…

 「諦めない」では造山力(レッド/ブルーオーシャンの話) やスタートに戻る重要性を説いている.特に,スタートに戻る話は,非常に同意できる.昔音楽していた時も半年ほど成長が無く,一旦積み上げてきたものを全て崩し,基本からもう一度試行錯誤しながら積み上げた結果,技術が大きく向上した.それを見ていた先輩に「0に戻すことができる人は中々いない」と言われたが,そういうものなのだろうか…技術の向上が目的だったのでそれさえ達成できるなら方法は何でもいいと思っているので特別に苦に感じたりはしなかったのだが…

 本書の優れた点は,これらのプロセスをシステマチックに記述している点にある.基本的に成果が出ないのはシステム(環境的要因や思考プロセス等)の問題だと思っているので,その点で手続きの具体例が書かれているのは非常に有益だった.ピカソや著名なピアニストであるグレン・グールドも先人の知識をひたすらにサーベイした上で自身のオリジナリティを見出したというエピソードも紹介されている.サーベイ大事.

 さっさとバカを卒業したい…バカつらい……