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備忘録

勉強や読書の記録

ガー・レイノルズ『プレゼンテーションzen デザイン あなたのプレゼンを強化するデザインの原則とテクニック』,丸善出版,2014

 プレゼンテーションzenの続編を読んだ.前作はデザインも含むプレゼンテーションの準備・実践など全般について記述されていたが,本書はデザインに焦点を当てている.エクセレント・カンパニーの共著者であるトム・ピーターズは「我々はみなデザイナーであり,もっとデザインを意識する必要がある」と述べている.

プレゼンテーションZENデザイン

プレゼンテーションZENデザイン

 

 中では様々なツールが紹介されているのだが,カラースキームについては以下の3つが紹介されている.自分のスライドの配色はAdobe Color CCを用いてベースカラーの類似色5つと補色1つ決めたのだが,色々なサービスがあるのだなあ.Adobe Color CCでは写真から色を抽出したりもできるらしい.本書では「自然は完璧な色彩画家である」と言われているし,風景写真などから色を抽出してカラーパレットを決めるのも有効だろう.

 他に挙げられているフリーかつ有益なソフトの一つとして Gapminder World が挙げられている.統計データを物凄くキレイにプロットしてくれる(研究発表で使う機会があるかどうかはわからない).

 デザインに関する内容以外も含まれているが,その辺はプレゼンテーションzenで触れられている内容なので,特に新しさはなかった.著者のガーは読書家でもあるらしく,彼のホームページには推薦書籍へのリンクが貼られている.時間を見つけて読もう…

 最後に,非常に印象に残っている第10章のフレーズを引用しておく.

デザイン向上を目指す旅の第一歩は,出発点を固めることだ.競争相手は自分のみである.我々の大部分は,今日必要とされるデザインやビジュアル・コミュニケーション戦略について学んだ経験が無い.しかし,学ぶのに遅すぎるということはない.いくつになっても新しいことを学び,進歩することは可能である. 

あなたは出発点を見極め,後にどれだけ進歩したかを確認できるようにしなければならない.そのためにはひとまず足を止め,コンピューターなどの文明の利器から離れて,自分の現状や改善すべき点を見つめ直す必要がある.日本には「反省」と呼ばれる習慣がある.それは内省のための一種の休止時間である.人々は現在取り組んでいるプロジェクトについて(たとえ順調に進んでいる場合であっても)さまざまに思いを巡らし,それを改善する方法を模索する.自らを省みる姿勢が無ければ,教訓は得られない.「反省なくして向上なし」である

教師の存在は不可欠であり,重要なものだ.彼らは我々に方向性を示してくれる.しかし,最終的に何かを学べるかどうかは,常に我々自身にかかっている.我々が現在身に付けている知識の大半は,自分自身の努力と,教室外におけるたゆまぬ向上心によって得られたものである. 

カイゼン(ここでは「継続的な向上」という意味合い)の興味深い点は,大進歩や急激な買いかっくは必要ではないということだ.むしろ,重要なのは向上の足掛かりとなるアイデアを(どんなに小さなものであれ)常に探し続けることである.ごく小さな改善であってもかまわない.なぜなら長期的に見れば,それらが積もり積もって大進歩に繋がるからだ.「千里の道も一歩から始まる」もまた,カイゼンに内在する教訓である.シンプルで簡単に実行できる改良は,その時点では大したことが無いように思われるかもしれない.しかし,その集積が大改良を生み出すのである.

「頂点を極めたと思った瞬間,人は衰退への道を歩み始める」という古い格言がある.完璧に見えるものにも,改善の余地はある.日々向上を目指し続けることがカイゼンの本質である.自分が長い旅路のどのあたりまで来ているのか,あとどれくらいの道のりがあるのかは重要ではない.大切なのは今この瞬間であり,身の回りの教訓に気付くこと,そして常に学び,向上していく意欲を持つことである.

 周囲の環境から学ぶためには,至るところに潜んでいる教訓を見抜かねばならない.しかし,それらに気付くには,意識を研ぎ澄ます必要がある.高い意識を持つことは,「個人的カイゼン」の第一歩である.しかし,我々の大半は無数のマルチタスク(あるいはイライラの種)で埋め尽くされた慌ただしい日々を送っており,常に高い意識を維持することができなくなってしまっている. 

 我々の日常生活はハイペースで進行している.しかし(我々に理解と成長をもたらしてくれるような)研ぎ澄まされた意識を持つには,スローダウンが必要だ.忙しい生活の合間を縫って,一人になる時間を見つけ出してほしい.リラックスできる時間を十分にとれば,身の回りの教訓が見えてくるはずだ.時が経つにつれて,あなたの意識はさらに研ぎ澄まされ,ますます多くの教訓が目に飛び込んでくるようになるだろう.