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備忘録

勉強や読書の記録

マーク・カーランスキー『「塩」の世界史』,扶桑社,2005

書評 文化・伝統・自然 歴史

 我々の生活に欠かせない塩に関する歴史書.扱っているもの自体は非常に良いのだが,構成が悪い.どういう意図でそれを書いているのか全くわからない.塩に関する何かがダラダラと続いており,体系的な知識を得るには,本の内容を0から再構築するくらいの労力が必要.ただ単に自分に世界史の知識がほぼないからつらいだけで,あればもっと楽に読めるのかもしれない.いずれにせよ,卒業間際の時間がない中でそこまでできる気がしなかったので,第一部で挫折してしまった.が,読んだ部分で印象に残っている部分だけでも記述しておく.知識を得るための本に見えるので,時間がある時に読んでみたい.

「塩」の世界史―歴史を動かした、小さな粒

「塩」の世界史―歴史を動かした、小さな粒

 

 聖書にまで塩に関する記述があることから,塩が人間にとって欠かせないものであることがわかる.

古代ヘブライ人にとっても現代ユダヤ人にとっても,塩とは神とイスラエルの契約の永遠性の象徴である.ユダヤ教教典トーラ,及び(旧約)聖書の民数記にも,「神の前における永遠の塩の契約」とあり,歴代誌には「イスラエルの神,主が,塩の契約を以て,イスラエルを治める王権をとこしえにダビデとその子孫たちに授けられた」と記されている. 

 この必要不可欠な塩は,政治にも利用された.塩と鉄に経済の基盤を置いたケルト人は,重い商品を運ぶための水路を求め,川を利用して,西はフランス,南はスペイン北部,北はベルギーまで侵攻した.このベルギーという名はケルトの部族名「ベルガエ」に由来しているそうだ.ケルトを征服したローマは,ケルト人が発明した塩鉱,鉄,農業,貿易,騎馬などを取り込み,豊かな帝国を築いた.また,ヴェネツィアは塩の交易を規制して利益を得た.ヴェネツィアは経済の基盤を塩に頼っていたが,この政策を導入した理由は,マルコ・ポーロで有名なポーロ家の影響を受けていたからだ.マルコ・ポーロシルクロードを通って訪れた中国は,紀元前250年から,塩を独占するなどの政策を採用していた.また1066年には,硝石として知られる塩の一種,硝酸カリウムと硫黄,炭素を混ぜ合わせた火粉への着火による爆発を用いて銃を開発していた.

 本書の中では塩を用いた調理に関する記述が頻繁に登場する.第一部では発酵や腐敗に関する内容があるが,塩による防腐効果はどのように機能しているのかが気になり,化学をやり直す必要性を感じられたのは一つの収穫だった.