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備忘録

勉強や読書の記録

湊かなえ『夜行観覧車』,双葉文庫,2013

 諸々の事情により更新が2ヶ月以上も空いてしまった.下半期は自身の英語力向上のために英語でも書評を書く予定なのだが,先が思いやられる…

 今回は湊かなえの『夜行観覧車』を紹介する.湊かなえの作品は『告白』『贖罪』を読んだのだが,今回も章ごとに特定の個人もしくは集団にフォーカスした独白形式で書かれている.実は私はこの形式が気に入っていて,というのは,湊かなえの描き出す人間の汚い部分がこの形式によって十二分に言語化されていると考えるからだ.

夜行観覧車 (双葉文庫)

夜行観覧車 (双葉文庫)

 

 本書は高級住宅街で起きた殺人事件を中心に,その関係者の心情を描きながら進んでいく.背伸びして高級住宅街に家を建てた一家と家庭問題,他所の家庭問題に首を突っ込むお婆さん,ある日突然殺人鬼の家族となってしまった子供たち.他の小説では味わえない,人間の心の闇を存分に味わえる小説となっている.それでいてページを捲る速度を緩ませない湊かなえの力量は流石である.たまにはハッピーエンドで終わらないイヤミスも読んでみては如何だろうか.観覧車が一回りする間に,あなたの何かも変わっているかもしれない.